命の一句

 今、「命の一句」という石寒太さんの本を読んでいる。この本には俳人の詠んだ句は少ない。小説家や俳優など普通の人の俳句を多く取り上げている。私は、俳句の本では、人が亡くなるという無情を詠った句をあさるように読む。楽しい俳句、恋の俳句などは「うーん、いいんじゃない」とあっさり読み飛ばしてしまう。何が楽しいのかと思うかもしれないが、別に単なる趣味で、今の心根とのシンパシーを大事にしているだけだと言っておこう。

命の一句―世界でいちばん小さなメッセージ

命の一句―世界でいちばん小さなメッセージ

 だから、この本でも特定の句、これから死にゆく人や近しい人の死を詠んだ句に目がいく。