うちに限って症候群

マーフィの法則に「悪いことが起きる可能性があれば、それは必ず起きる」(If anything can go wrong, it will.)というのがある。

米国の保険引受団体、ファクトリー・ミューチャルは「起きたことはまた起きる」という題名の有名な事故例集を発行している。このように可能性のあるものは必ず起きると考えるのは健全な考え方である。


しかし、米国でも「うちに限って症候群」(What-happened-can't-happen-here syndrome)といって、よそで悪いことが起きても自分のところは大丈夫と考えることを病気に例えてこう呼ぶことがある。わが国にも「うちに限って症候群」が蔓延しており、安全対策等の障害になっているのではないだろうか。


リスクマネジメントは、リスクに大小はあっても、リスクが存在することを認めるところから出発している。ここでいう“リスク”とは“損失の可能性”という意味である。つまりリスクは、放置すれば現実に損失が発生しうることをいう。一般的にはこのように考えて差しつかえない。