日本海溝・千島海溝周辺地震による死者最悪2700人

日本海溝・千島海溝周辺地震で、中央防災会議の専門調査会は、2006年1月25日に、最悪の場合、死者は2700人に上るという被害想定をまとめた。冬場に20mを超える津波が押し寄せると、路面凍結などで避難が遅れ被害を拡大させるという。

日本海溝・千島海溝周辺地震は海側の太平洋プレートが陸側の北米プレートに沈み込んで起きるものである。専門調査会は発生メカニズムについて8つの型を想定し、季節や時間帯、風の強さを変えて被害を推計した。

最も死者が多いケースは、1896(明治29)年に約2万2千人の死者・不明者を出した「明治三陸地震」と同じ型の地震(M8.6)が冬の朝5時に発生した場合で、2700人であった。

北海道の太平洋沿岸を震源とし、880人の死者を想定する「500年間隔地震」(M8.6)と同様、陸での揺れはあまりないものの、発生から約30分で、太平洋沿岸に最大22mの津波が押し寄せる。スマトラ沖地震の時のように漂流物が内陸に流れ込み、被害を大きくするという。

道県別の最悪の死者数は、岩手県が2100人(明治三陸型)で、北海道700人(500年間隔地震)、宮城県360人(明治三陸型)、青森県110人(三陸沖北部地震)、福島県60人(明治三陸型)となっている。どの地震津波による死者が最も多く、路面凍結や雪崩の危険から夏場より冬場が多い。

建物被害は、宮城県沖の地震(M7.6-8.2)が冬の午後6時、風速15mで発生した場合、2万1000棟で最も多い。火災が強風で広がる恐れがあり、焼失が7割で、津波液状化による全壊より多い。一方、明治三陸タイプの地震では、津波で9400棟が全壊するとみている。

孤立する恐れのある集落は約1600。避難所生活を余儀なくされる人は、宮城県沖の地震では21万人と、新潟県中越地震の2倍に達する見込みだ。

2005年9月に「日本海溝・千島海溝周辺地震防災対策推進特別措置法」が施行され、現在、5道県の107市町村を推進地域にする案が自治体に示されており、2月に中央防災会議で決定する。 (asahi.comより)

http://www.bousai.go.jp/jishin/nihonkaikou/

被害想定結果
http://www.bousai.go.jp/jishin/nihonkaikou/houkoku/houkokusiryou1.pdf