Positive Thinking
久しぶりにAcoustic AlchemyのPositive Thinkingというアルバムを聴きました。Acoustic Alchemyはスムーズ・ジャズ、いわゆるイージーリスニングのジャズを演るバンドです。英国のゴンチチと呼ばれることがあります。
- アーティスト: Acoustic Alchemy
- 出版社/メーカー: Grp Records
- 発売日: 1998/05/19
- メディア: CD
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Positive Thinkingは、1998年に初代アルケミーが制作したアルバムです。当時のメンバーであるニック・ウェブが全作品を作曲しましたが、膵臓ガンに倒れました。病気のためギターを弾けなくなったニックは、代わりのメンバーを見つけ、このアルバムを作ったそうです。残念ながら亡くなったあとにアルバムが完成し、ニックの遺作になった因縁の作品です。
とても透明感のあるアコースティック・ジャズギターの音色がとてもすてきです。以前は、なぜガンで苦しんだニックが"Positive Thinking(前向きに考えること)"と名前をつけたのか、不思議でした。ニックの遺言になったアルバムのメッセージは「皆さんに楽しんでもらいたい」というありきたりの言葉でした。
しかし、今は何となくわかる気がします。
ニックは、ガンの痛みで身体も心もネガティブになっていたと思います。未来はなくなったと感じたことでしょう。そうした中で,わずかでいいから "Positive"(肯定的)でありたい、自由に動くことができないからせめて、"Thinking"(考えること)だけでもしたい。こうした思考上の前向きさだけは失いたくなかったのではないかと思います。
決して、マイナスをプラスにするような大それたことではなく、マイナスの中で目盛りを1つだけプラスの方向にもっていこうとする気持ちを大切にしたいというメッセージです。これが透明感のある音色になったのだろうと思います。
わが家では、何か少しいいことがあると、「真史のおかげ。ありがとう」と言うようになりました。これもこのPositive Thinking。
また、「かんしゃく から く(苦)の字を取れば ただ感謝」のような、ちょっとした心の持ちようもPositive Thinking。
人から「前向きに考えなさい」といわれると、まだ抵抗感がありますが、自分で考え、自分を前向きに説得することは、最近かなり平気になってきました。これも真史のおかげです。
Rest in Peace, Masa and Nick!